令和5年度の税制改正の大綱概要が出ております。
税制改正大綱とは、翌年度以降の税制改正の方針をまとめたもの=“たたき台”です。
たたき台とはいえ、この通り決まる法案も多く、例年3月に可決・成立して公布されます。
令和5年の税制はどのように変わるのでしょうか。 今回の税制改正大綱から、皆様に影響が大きいと思われる3項目をピックアップして解説いたします。
★NISA制度の拡充・恒久化
- 施行時期 : 令和6年1月
- 改正内容
※ 一般NISAとつみたてNISAの非課税限度額を増加。非課税期間も無期限になります。
※ 一般NISAとつみたてNISAは
どちらか一方しか使えませんでしたが、一般NISAは「成長投資枠」、積立NISAは「つみたて投資枠」
として併用可能となります。
※ 一生涯で合計1,800万円の非課税限度額が設けられます。
(「成長投資枠」については、その内数として1,200万円まで)
★インボイス発行事業者となる免税事業者の負担軽減
- 施行時期 : 令和5年10月
- 改正内容
・免税事業者がインボイス発行事業者になった場合の消費税の納税額を
“売上税額の2割”に軽減する、3年間の負担軽減措置が設けられます。
・基準期間の課税売上高が1億円以下の事業者については、税込1万円未満の課税仕入れ
について、インボイスの保存がなくても“帳簿のみ”で仕入税額控除が認められます。(経過措置期間:6年間)
・売上に係る対価の返還等が税込1万円未満の場合はインボイス交付義務が免除されます。
すべての事業者が対象となり、事務負担が軽減されます。
★相続前贈与の加算期間が7年に延長
- 施行時期 : 令和6年1月以降の贈与
- 改正内容
・これまで暦年課税における相続開始前3年以内に行われた贈与については、相続財産に加算することになっていましたが、こちらが7年に延長となります。
令和6年1月1日以後の贈与については、現行の3年内加算が7年加算に延長されます。
ただし、延長された4年間に行われた贈与のうち、総額100万円までは相続財産に加算しなくてもよいこととされました。
あくまで“総額で100万円”なので、毎年100万円を差し引けるわけではありませんのでご注意ください。
令和6年1月1日以降に行う贈与については、段階的に期間が延長されていき、令和13年1月1日から完全に7年間の加算期間となります。
・・・ちなみに・・・
加算対象者は変更なし!
今回の改正では生前贈与加算の対象者には変更がありませんでした。
現行どおり孫や曾孫に対する贈与は、原則として生前贈与加算の対象となりません。
つまり… 「お父さんが3年以内に亡くなってしまいそう」
↓
「子供への贈与は生前贈与加算の対象になってしまう!」
↓
「孫へ贈与なら大丈夫!」
このような、ギリギリな節税も引き続き可能ということになります。
今回の大綱では、今号で解説した3項目以外にも多くの税制改正があることが明らかにされております。その詳細については随時ご案内させていただきます。