民法は、遺言書が作成されていない相続に備えて、亡くなった人(被相続人)の「遺産を引き継ぐことができる人は誰なのか」を具体的に定めています。この民法で定められた遺産を引き継ぐことができる人のことを「法定相続人」といいます。
今月号では、法定相続人の範囲について基本的なケースをご紹介いたします。
民法で定める法定相続人の範囲は、次の通りです。
【配偶者】
被相続人の配偶者は常に相続人となります。
【配偶者以外】
配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
第1順位:被相続人の子供
被相続人の子が被相続人の死亡以前に死亡しているときは、その子の直系卑属(被相続人の孫や曽孫など)が相続人となります。孫も曽孫もいるときは、被相続人により近い世代である孫の方を優先します。
第2順位:被相続人の直系尊属(父母や祖父母など)
父母も祖父母もいるときは、被相続人により近い世代である父母の方を優先します。第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。
第3順位:被相続人の兄弟姉妹
被相続人の兄弟姉妹が既に死亡している時は、その兄弟姉妹の子(被相続人の甥や姪)が相続人となります。第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。
※相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされます。
内縁関係の人は、相続人に含まれません。
※内縁の妻は相続人に含まれませんが内縁の妻との間に子がいて、認知されている場合、その子は相続人に含まれます。
※1 父母が死亡、相続権を失ったときに相続人となります。
※2 子には胎児も含まれます。
※3 子が死亡、相続権を失ったときに代襲相続人となります。
※4 孫が死亡、相続権を失ったときに再代襲相続人となります。
曽孫以降も再代襲が生じます。
※5 兄弟姉妹が死亡、相続権を失ったときに代襲相続人となります。
甥・姪の子には再代襲は生じません。
★ 代襲相続とは…
代襲相続とは、相続人になるはずだった被相続人の子や兄弟姉妹(以下「被代襲相続人」といいます)が死亡、相続欠格、相続廃除によって相続権を失った場合、その被代襲相続人に代わって、被相続人の孫などが相続人(以下「代襲相続人」といいます)となることです。
※ 参考までに、被代襲相続人である子の代襲相続人が1人でもいるという場合には、その代襲相続人が第1順位の相続人となります。ちなみに、この場合には、第2順位の直系尊属や第3順位の兄弟姉妹は相続人にはなりません。
★代襲相続はどこまで続く…
被代襲相続人である子についての代襲相続は、被相続人の孫以降も、曽孫など直系卑属がいる限り再代襲という形で続きますが、被代襲相続人である兄弟姉妹についての代襲相続は、被相続人の甥や姪までです。
法定相続人の範囲について基本的なケースを取り上げました。ご紹介したもの以外にも様々ケースがありますので、判断に迷われた際には、お気軽に当事務所にお問い合わせ、ご依頼ください。