コロナ禍の緩和に伴い、税務調査の件数も徐々に増加傾向にあることがわかってきました。税務調査で経費算入が認められず、
追徴課税を支払わないためにはどのようにすると良いのでしょう?領収書などの証憑書類の残し方という観点に絞ってお知らせいたします。
経費関係の証拠の残し方~領収書は万能な証拠書類ではない~
領収書の効果は、支払年月日や支払先、支払金額などの証明です。支払目的や課税要件を 充足させるための内容までを証明している訳ではありません。そのため領収書の保存に加えて、詳細な内容の記録と保存が大事なのです。具体的には、①いつ②どこの誰に③どのような目的で④いくら払ったか、を証明することが必要となります。
交際費等に関する証拠書類の考え方
支出した金額を交際費等として処理するためには、下記の要件を満たしていることが必要です。
①事業に関係のある者に対して行うものであること
②接待、供応、慰安、贈答等の費用であること
③その支出により今後の取引関係などが円滑に進むであろうことを前提としていること
この三つの要件を満たした内容を証明することができる証拠書類が必要となります。中小企業の場合、交際費等は1事業年度あたり800万円を超えた金額については損金不算入となり法人税が課税されてしまいますので注意が必要です。
また、たとえ顧客と飲食するための支出であっても一人あたりの支出額が5,000円以下となるケースは年月日や参加人数・費用等一定の事項を記載した書類を保存している場合に限り、交際費等から除外されます。
経費・交際費等の証拠の残し方 チェックポイント
〇税務調査動向
最近は、個人の必要経費否認、法人の損金否認などが税務調査の場面で目立ってきています。特に、経費について、領収証などを基に確認されて、内容を詳細に質問されるようになってきました。
この際領収書の有無が重要なのではなく、客観的に経費や交際費であることが示せる証拠が持っているかが重要になります。具体的には業務関連性、支払い事実、費用の目的や詳細、社内稟議を経ているかなどが該当します。
ポイント1 領収書をしっかり保存する!
領収書は絶対的な証拠とはなりませんが、支払い事実を証明する重要な証拠であることに違いはありません。領収書のもらい忘れや紛失にはくれぐれも気を付けて保存しておく必要があります。
ポイント2 詳細を残してくことが重要!
領収書は支払い事実を証明するのみで経費性などを保証するものではありません。領収書を保存していれば問題ないと考えるのは間違いです。どういった目的の支出か、どのような状況で支払われたか(人数、場所など)、結びつく売上はあるかを帳簿などに記しておくことで、税務調査でのリスクを下げることが可能です。
その支出が社内稟議を経たものであれば、決裁文書、社内稟議書も証拠になります。
これらはすべて業務上必要な支出であるか否かの証明でもあります。
ポイント3 領収書が貰えない場合でも…
紹介料や近隣対策費など領収書がもらいにくい支出の場合でも、別の形で支払事実が確認できれば法人税法上問題ありません。
支払先、支払金額、同年月日、同目的などが明確であれば問題ありませんので、通帳等の出金記録、金銭出納帳、常時作成している出金伝票などでも代用は可能です。
その際に最も重要なのは、支払事実や目的に加え、経費・交際費である実態を示せる資料があるかどうかです。ただし、消費税の計算の観点から考えると問題となる可能性もございます。
(文責:飯田)