「遺贈」とは、遺言書を作って、特定の個人や団体に遺産をゆずることを言います。
遺贈の場合、法定相続人以外にも財産をゆずることができます。
そのため、お世話になった方や応援したい団体に遺産をゆずることが可能です。
生涯をかけて築き上げ、守ってきた大事な財産!
人生最後の社会貢献という意味合いを込めて、
この大事な遺産の一部又はすべてを公益団体やNPO法人などに寄付するといった
「遺贈寄付」を考えている方が増えています。
欧米では古くから利用されている制度ですが、近年日本でも注目されています。
相続人なき遺産は国庫へ
遺産を引き継いでくれる相続人がいないなどの理由で
国庫に納められる財産額が、この10年近くで急増していることはご存知ですか?
最高裁判所によりますと、2022年度に国庫に帰属した遺産額は768憶円と
記録が残る2013年度以降で最多となっており、10年近くで2倍超に急増しています。
人生の集大成として、遺産を有効活用してもらいたいと考える方が増えており、
それが遺贈寄付が注目される理由になっているのかもしれません。
遺贈する先としては、公益法人や認定NPO法人といった公共性の高い団体を検討される方も多いようです。
注意する点は?
遺言書には、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」とがあります。
それぞれにメリットデメリットはありますが、自筆証書遺言では形式や内容に問題が生じて無効になる場合があるので注意が必要です。
ところで最近は、相続人がいても一部の財産を遺贈するという例が増えてきているようですが、
遺留分を侵害し、のちのちトラブルにならないように「遺留分」には十分配慮した内容にしたいですね。
遺言書の作成は、「もう少し年齢を重ねてから」と考える方も多いかと思います。
「まだまだ元気だから」とついつい先延ばしになりがちですが、予期せぬことは突然訪れるかもしれません。
判断能力の低下によって遺言書が作れなくなることもあります。
遺贈寄付は自分の財産を社会で有効活用させる手段の一つです。
想いをかなえるためにも専門家に相談しながら進める事をおすすめします。
ご不明な点、ご相談等ございましたら、お気軽に当事務所にお問い合わせください。
参考書籍:日本経済新聞・朝日新聞
文責:成澤 優子